ウールが椅子の張地として優れていることはわかっていつつも、チクチク感を理由に避けてしまうことはよくある話です。まずは手のひらや甲、もしくは実際に座って、確かめてみて下さい。

「ウールと一言でいっても、材料の元となる羊の種類や、繊維の太さ、毛を櫛ですくかすかないかの仕上げの過程など、ものによって大きく質感が異なります。それに、「着る」のと「座る」のではからだへの触れ方も違います(皮膚の薄い首周りや胸元は、かゆみを感じやすいのです)。

ウール=チクチクと思ってしまうもう1つの理由として、ウール自体よりも化繊が多く含まれている、“混合ウール”が使わている可能性が挙げられます。
混合ウールはウールの通気性の機能(リンク:冬は暖か、夏はサララ。ウールの別名は「天然のエアコン」)を弱めてしまうのです。汗で湿った肌は、ちょっとした刺激にも敏感になります。そんなとき、汗を発散してくれない“混合ウール”だと、ウール繊維は強い刺激となってかゆみを引き起こします。

ということで、ぜひお店では、先入観よりも、自分の肌の感じ方を(目を閉じて)確かめてみてください。

クヴァドラのウール生地であるTonus4とSteelcuttrio3。どちらも90%前後のウールを含む生地ですが、質感はそれぞれまったくことなります。人の肌の繊細さによっても、感じ方はまるで変わってくることがあります。

ウールは “生地が成長する”というのも楽しみの1つです。
日常的に掃除機をかけているうちに遊び毛が取れ、日々腰掛けることで逆立っていた毛も従順になり、ざっくりとしたリネンのような心地よい質感に変化していきます。

クヴァドララフシモンズのウール生地