チーフテンチェアは、北欧デザインの巨匠フィン・ユールの代表作といわれる一脚です。
古代エジプトの玉座に使われていた椅子と構造や特徴が似ていることからエジプトチェアとも呼ばれています。
1949年コペンハーゲン家具職人ギルド展に出展した際、デンマークのフレデリック国王の目に留まった1脚として脚光を浴びました。
圧倒的な存在感が漂うチーフテンチェアは、「家具の彫刻家」と呼ばれる彼の独創的なデザインが特徴的で、それまでのデンマーク家具デザインの伝統を刷新するものでした。
外枠の直線的な木材の使われ方に対し、背や体に接する部分の木材は細く繊細でゆるやかに曲線を描いています。これは人体の構造は直線とするところはなく、腰かけた際に違和感なく体全体を支えれるよう設計した、彼の優れた思考によるものです。
包み込むほどの大きな背もたれや美しいアームの曲線等その一つ一つが華麗で、彼の斬新なアイデと安定した構造体を見事に調和させた秀逸な作品です。