ファブリックの生地は色が豊富、質感があたたかで、レザーや合皮のように
つるつるしないので、身体をベストな姿勢で支えてくれます。
そんなファブリックをソファの生地に選びたいと思いつつも、心のどこかで「ファブリックは汚れがなぁ……」と躊躇する人も多いかと思います。

買ったばかりのソファや椅子が、日々みすぼらしくなっていく経験をトラウマのように記憶しているのではないでしょうか。


座面が色褪せてしまったヴィンテージソファ

しかしながら、その汚れていった生地の素材構成(「(原料名)〇〇%」)を正確に記憶している人は少ないのでしょう。もし以前購入した家具が国内メーカーのものであれば、「コットン」や「リネン」、もしくは「アクリル」「ポリエステル」といった化学繊維を主とした素材である可能性が高くなります。
それらはコストが安く加工がしやすい反面、汚れやすいことも多い素材です。

からだにやさしい天然素材で、耐久性が高く、しかも汚れにくいファブリック……それが
「ウール」です。ウールは天然の油分を含み、表面で水分をはじく性質があるため、汚れが中に浸透する前に表面でとどまります。そのため、何かをこぼしたときも、水を含んだタオルでたたけばOK。


写真のように、こぼした水が弾かれてコロコロと動く水玉になります。

コットンやリネンがあっという間に汚れを含んだ水分を内側まで取り込んでしまうのと比較すると、「汚れにくさ」で大きな意味を持ちます。

では、水分を取り込まない化学繊維(ポリエステルやナイロン)はといえば、たしかに水を含んだ汚れはつきにくいものの、摩擦で静電気が発生しやすく、チリやホコリを吸引して薄汚れていきます。

ウールは自然の生んだ素晴らしい素材ですが、唯一の欠点はその原料の高さ。世界で生産される全繊維のうち、ウールの比率はわずか2%以下。希少な素材であるがゆえに、プレミアムな存在になっているのも事実です。

クヴァドララフシモンズのウール生地