1948年に発表された「ウィスキーチェア」は、フィン・ユールが芸術的な造形感覚と機能性を融合させた作品です。もともとは「美術収集家のためのリビングルーム」というコンセプトのもと、デンマーク家具職人展で発表されましたが、当時は製品化には至りませんでした。
ウォルナット無垢材のフレームに真鍮のディテールをあしらい、座面はデンマークの職人によってテキスタイルまたはレザーで丁寧に張り込まれています。
現在の復刻版には、ガラス作家ミッケル・イェーストが手吹きで制作した専用のウイスキーグラスが付属。フィン・ユールの描いたデッサンには存在しなかったこのグラスは、チェアそのものの造形からインスピレーションを得ており、ユールの創造性と独自の美意識を現代に伝える象徴的な一脚となっています。