巨匠建築家が生んだ、暮らしを豊かにするクッション
「いつかは北欧の名作家具を」──
そんな憧れを抱きながら、まずは日々の暮らしを、ほんの少しだけ贅沢に変えてみませんか。
エッグチェアやセブンチェア、AJランプで知られる、デンマークデザインの巨匠 アルネ・ヤコブセン。
実は彼が、クッションに至るまでデザインしていたことは、あまり知られていません。
建築家でありデザイナーでもあったヤコブセンが目指していたのは、空間を形づくるすべての要素に目を向け、暮らしの細部にまで美しさを行き渡らせることでした。
せっかく良いソファやラウンジチェアを持つなら、クッションにも、ほんの少しだけこだわってみる。
まだ大きな家具はハードルが高いと感じている方も、まずは手に取りやすい小物から、良いデザインを暮らしに迎えてみる。
AJクッションは、そんなふうに日常の延長線上でヤコブセンのデザインに触れ、彼の思想や美学を、身近な形で暮らしに取り入れられるアイテムです。
暮らしの細部にまで及ぶ、ヤコブセンの美学

ヤコブセンは、建築家であると同時に、家具、照明、インテリア小物までを手がけたデザイナーでした。
彼が追求していたのは、単に建物を設計することではなく、建築・家具・インテリア・細部の小物に至るまでを含めた「トータル・デザイン」という考え方です。

代表作であるSASロイヤルホテルでは、建物はもちろん、家具や照明、カトラリー、グラス、ドアノブに至るまで、自らデザインを行いました。
空間全体をひとつの総合芸術作品として完成させることを目指していたのです。
この思想の中では、布やテキスタイルもまた重要な構成要素でした。
ヤコブセンは若い頃から絵を描くことを好み、色彩やパターン、自然の形に強い関心を持っていました。
植物を育て、自然を観察し、水彩画や写真に収める。
そうした経験が、後のテキスタイルやパターンデザインにもつながっています。
実際に1940年代には、テキスタイルや壁紙のためのパターンも手がけており、クッションのデザインは彼にとって自然な拡張だったと言えるでしょう。
触れた瞬間に伝わる、やさしい柔らかさの理由

AJクッションに触れたとき、まず感じるのは、カバーの肌ざわりの良さと、内側から伝わるやわらかさです。
見た目にはしっかりとしたボリュームがありますが、中身が詰まりすぎた重たさはありません。
身体をそっと受け止めてくれるような心地よさがあり、自然と力が抜けていきます。
豊かな陰影を生むダブル仕立てのニットカバー
AJクッションのカバーには、ニット素材が使われています。
ウールのチクチクとした刺激は感じられず、さらりとした手触りが印象的です。
ニットならではの伸縮性があるため、クッションの角が突っ張ることなく、抱えたときや背中を預けたときにも、表面が身体に自然になじみます。
また、やわらかな触感でありながら、表情がだらしなくならないのは、カバーが二重構造で仕立てられているためです。内側と外側、二層が重なることで、ふんわりとした感触の中に、ほどよい厚みと安定感が生まれています。
さらに、外側のカバーは模様の一部がキルティング仕立てとなっており、カバーには自然な立体感と陰影が生まれます。
プリント生地にはない奥行きのある表情が現れ、光の当たり方によって印象がやわらかく変わり、触感だけでなく視覚的にも空間にやさしい雰囲気をもたらします。
デンマーク生まれの中材「フォスフレイクス」
AJクッションの心地よさを支えているのが、中材に使われている「Fossflakes(フォスフレイクス)」というデンマーク生まれの素材です。
一般的に上質なクッションには羽毛が使われることが多いのですが、AJクッションでは動物由来素材を使用していません。
フォスフレイクスは、軽くて丈夫なポリエチレンを極限まで薄く引き伸ばし、羽毛のようにふわふわな状態に加工した素材です。圧縮しても一瞬で元に戻る復元力があり、使い続けてもヘタりにくいのが特長です。
湿気を吸って重たくなることもなく、合成繊維特有のべたつき感もありません。
中材が自在に動くため、頭や腰を預けたときにも、クッションの中で形を変えながら、その人の体型に合わせて自然にフィットしていきます。
フォスフレイクスはホコリが出にくく、羽根が飛び出す心配もありません。清潔に使いやすい点も、日常使いのクッションとして嬉しいポイントです。
コーディネート|置く場所によって、過ごす時間が変わる
AJクッションは、特別な場所だけのためのアイテムではありません。
日常のさまざまなシーンに自然に馴染み、空間と時間の質を少しずつ整えてくれます。
ソファの上に
ソファの上に置けば、空間のアクセントになりながら、くつろぎの質を高めてくれます。
レザーソファのように硬質な素材と合わせることで、ニットの柔らかさが引き立ち、リビング全体に温かみが生まれます。
ラウンジチェアのお供に
ラウンジチェアに腰掛け、抱きかかえるように使うのもおすすめです。
お腹にクッションを預けると、不思議と安心感が生まれ、読書や映画鑑賞の時間がよりリラックスしたものになります。
ダイニングチェアの背当たりに
ダイニングチェアでは、背当たりとして使うことで、長時間座る際の快適さが増します。
ボリュームがあるため、奥行きのあるチェアとの相性が特に良く感じられます。
実用性と見た目のどちらも妥協したくない方におすすめの使い方です。
ベッドルームでのデコラティブピローとして
寝室では、ベッドの上に並べることで、ホテルのような落ち着いた雰囲気を演出できます。
眠るための枕とは役割を分け、視覚的なアクセントとして取り入れることで、一日の終わりにふさわしい、静かな空間をつくることができます。
AJクッションは、どこかを主張しすぎることはありません。
けれど、置いた場所ごとに、過ごす時間の質をそっと引き上げてくれます。
バリエーション|パターンとサイズで選ぶ、ヤコブセンの表情
AJクッションには、アルネ・ヤコブセンが手がけたオリジナルのパターンが用いられています。
一見するとやわらかく装飾的に感じられますが、その多くは数学的な規則性に基づいた幾何学模様です。
パターンの反復には、建築のファサードやタイル張りを思わせる構造美があり、空間に自然な秩序と落ち着きをもたらします。
Trapez(トラペズ)
細い台形を組み合わせた、シャープで建築的なパターン。
カラーはミッドナイトブルーとアースブラウン、50×50cmと40×60cmの2サイズ展開。
Vertigo(ヴェルティゴ)
半分に割った円が、向きを変えながら連続するリズム感のパターン。
カラーはサンドとライトグレーで、50×50cmと40×60cmの2サイズ展開。
Tassel(タッセル)
モザイクのような抽象的なパターン。
カラーはペールグリーンのみで、45×45cmと36×56cmの2サイズ展開。
いずれも主張しすぎない配色でありながら、よく見ると個性が感じられるデザインです。
すべてがニュアンスカラーで統一されているため、異なる柄同士を組み合わせても、不思議と調和します。
サイズは正方形と長方形があり、背当たり用、腰当て用、抱きかかえる用など、用途に応じて選ぶことができます。
パターンとサイズを組み合わせることで、自分らしいコーディネートを楽しめるのもAJクッションの魅力です。
お手入れの仕方・お取り扱いの注意点
カバー(ウール):洗濯ネットに入れて、手洗いが可能
中材(フォスフレイクス):洗濯ネットを使用し、洗濯機で水洗いが可能
※柔軟剤・酵素系洗剤の使用はお控えください
アルネ・ヤコブセン 植物を愛した完璧主義者
アルネ・ヤコブセン(Arne Jacobsen, 1902-1971)は、デンマークを代表するデザイナーであり、建築家としても名高い人物です。
彼のデザインの最大の特長は、建築から家具、照明、小物に至るまでを一貫して手がける“トータルデザイン”のアプローチにあります。
建築と調和しながら、空間の中で機能し、美しくある家具を生み出すという哲学は、今なお多くのインテリアデザイナーに影響を与えています。
ヤコブセンのデザインはなぜ、こんなにも人を惹きつけるのか?
ヤコブセンは「デザインは単なる形ではなく、使う人々の快適さを考えたものであるべき」と考え、美しさと使い心地の両面を、細部にまで徹底的にこだわり抜いてプロダクトを作り上げる完璧主義者でした。
セブンチェア、アリンコチェア、グランプリチェア、スワンチェア、エッグチェア... 時代を超えて愛される名作の数々は、成形合板やファブリック、レザーといった異素材を駆使しながら、人間工学と彫刻的な美しさを見事に両立させています。
実はヤコブセンはもともと、植物学者になりたかったという背景を持っています。
彼のデザインには自然界からのインスピレーションが色濃く反映されており、自然の有機的な形状を作品に取り入れることに強い関心を持ち続けました。
例えば、ドロップチェアのフォルムやリリーチェアのデザインは、自然界の形状や動きを模倣しており、ヤコブセンの植物学的な背景が彼のデザインに独特な影響を与えています。
総じて、アルネ・ヤコブセンはただのデザイナーではなく、空間そのものをデザインし、機能と美を両立させた革新者でした。
自然美と人間的な温かみに包まれた彼の作品は、今もなお北欧デザインの金字塔として、世界中のデザイン愛好家に愛され続けています。
FRITZ HANSEN
時代を超えるデザインが集う、北欧の老舗ブランド

フリッツ・ハンセンは、創業150年以上の歴史を誇るデンマークの老舗家具ブランドです。
創業以来、アルネ・ヤコブセンやポール・ケアホルムといった巨匠デザイナーとのコラボレーションにより、時代を超えて愛される名作を生み出し続けています。
クラフツマンシップと北欧のデザイン哲学が融合した家具は、木製以外にもスチールやレザーといった上質な素材と、洗練されたフォルムが特徴。
セブンチェアやエッグチェアなど、彫刻作品のような名作の数々。
単なる家具ではなく、空間全体を洗練された雰囲気に包み込みます。
家具のみならず、照明やアクセサリーまで、トータルインテリアを提案できる豊富なラインナップも魅力です。