1953年フィン・ユールによってデザインされた「77チェア」は、同時代アメリカのデザイナーから影響を受け、よりスリムで洗練された工業的な美しさを追求した作品です。1950~60年代の空港ラウンジやホテルロビーを思わせるモダンな佇まいで、張りぐるみのボディが繊細なスチールフレームの上に浮かんで見える軽やかな構造が特徴です。脚部はスチールと木材の異素材を組み合わせています。
一見控えめながらも、内部には手間を惜しまない職人技が詰まっており、クラフトマンシップとインダストリアルデザインの融合を象徴する、フィン・ユールのデザインは時代を超えた名作です。