皮から「革」へ。フリッツ・ハンセンで学ぶ、本物のレザー選び。

一生モノの大切な家具には、上質なレザー。そんな方も多いのではないでしょうか。
そんな時、最後に私たちを悩ませるのが「どのレザーにするか」という問題ですよね。
今回は、北欧デザインの名ブランド FRITZ HANSEN(フリッツ・ハンセン) のレザーラインナップを例に、レザー選びの「決定版ガイド」をお届けします。特に2026年の新作として加わった注目の「ヘイズレザー」を含め、プロの視点で徹底比較していきます。
レザーを正しく捉える3つのポイント

レザーができるまでには、大まかに以下のような手順を踏みます。
採取と準備
牛の「皮(Hide)」を採取し、毛や脂肪を取り除きます。
↓
なめし(なめし剤の浸透)
腐らない「革(Leather)」へと性質を変えます。
↓
染色・塗装
染料による染色と加脂を行い、必要に応じて顔料による塗装や表面処理を施します。
このような製造工程の中で、「どのような加工を施したか」という観点から、レザーを見極める3つのポイントをご紹介します。
レザーを選ぶときは、まず以下の①②③を押さえておきましょう。
① トップグレインかどうか
一言で言うと: 「革の表面(銀面)をそのまま使っているか、加工したか」
トップグレインとは、銀面(革の表面)を使っている革の総称です。
その中でも最高峰が「フルグレインレザー」。動物の皮膚の最も外側にある層を削らずに使用したもので、繊維密度が非常に高く、耐久性は最強。同じものがひとつとしてない唯一無二の風合いが魅力ですが、キズのない綺麗な原皮は極めて希少です。
一方、表面を軽く研磨してキズを隠したものを「コレクテッドグレイン(コレクテッドレザー)」と呼び、均一な美しさと実用性を両立させます。
② クロムなめしか、タンニンなめしか
一言で言うと: 「化学の力で機能性を出すか、植物の力で味を出すか」
- クロムなめし: 化学薬品を使う現代的手法(世界の8〜9割のレザーがこれです)。
魅力: 「機能性と手軽さ」。軽くて柔らかく、水や熱に強く、発色も鮮やかです。
デメリット: 劇的な変化はなく、使い込むと「味」より「劣化」を感じる場合があります。
- ベジタブルタンニンなめし: 樹木の「渋」を使う伝統手法。
魅力: 「育てる楽しみ」。皮本来の風合いが活かされ、その素材の自然なエイジング(経年変化)が最大の特徴です。
デメリット: 水に弱く、最初は硬め。また、この方法でなめしができるのは非常に状態の良い皮で希少性が高く、高価になりがちです。
※中には、後述の「グレースレザー」のように、ベジタブルタンニンとクロムの2つを掛け合わせて、革の柔らかさと保護性を保ちつつ、素材本来の風合いと経年変化を生かすというハイブリッドななめし方もあります。
③ アニリン(染料のみ)か、ピグメント(染料+顔料)か
一言で言うと: 「染料のみで色をつけるか、顔料による塗装も施すか」
アニリン仕上げは、染料のみで染めた透明感のある仕上げ。革の芯まで色が浸透し、経年とともに下地の風合いと混ざり合って深い「パティナ(艶)」が生まれます。
対してピグメント仕上げは、染料に加えて、さらに表面を顔料で覆います。保護膜となるため傷や汚れに強いですが、経年変化は少なく、長期的には顔料が色あせたり、乾燥や摩耗によって塗装面が割れたりすることがあります。
まとめると…
・人工的な処理をしている(コレクテッド・クロムなめし・ピグメント)ほど、傷や汚れには強いが、革本来の風合いは控えめで経年変化しない。
・できるだけ自然のままの処理をしている(フルグレイン・タンニンなめし・アニリン)ほど、傷や汚れには弱いが、革本来の風合いが感じられ豊かな経年変化も楽しめる。
FRITZ HANSEN 主要レザー比較
【Category 3】
■ オーラレザー (Aura)

分類:コレクテッドグレイン / クロムなめし / ピグメント仕上げ
「本革の豊かさを、もっと身近に、もっと気兼ねなく」を体現した、実用派レザー。
- 特徴と魅力: 表面を整え、均一なシボを型押しした実用派。シボ加工が表面に施されていることによって、傷が目立ちにくく、肌触りにも独特のテクスチャー感があります。圧倒的なメンテナンス性。傷やシミができにくく、汚れてもサッと拭ける安心感。
- 経年変化: ほとんど変化せず、購入時の色を長く保ちます。
- デメリット: 皮本来の天然の風合いやエイジングの楽しみは少なめ。
- どんな人向け?: 本革の高級感はありつつ、できるだけ綺麗に使いたい、実用面を重視する方におすすめ。子供やペットがいるご家庭、オフィス、公共空間。ややパリッとしたシャープな見た目・質感のため、モダンなインテリアを好む方にも一押しです。
〈カラーバリエーション〉

ブラック / ブラックブラウン / ウォルナット / コニャック / ベージュ
■ エッセンシャルレザー (Essential)

▲SERIES 7(セブンチェア) / Essential Leather(エッセンシャルレザー) / ブラック
分類:コレクテッドグレイン / クロムなめし / ピグメント仕上げ
フリッツ・ハンセンの中で、最も「潔い実用性」を追求したレザー。
- 特徴と魅力: 表面を均一に整え、非常に薄い保護層を施しています。オーラレザーに似ていますが、より「すべすべ」とした、現代的でクリーンな質感が特徴です。汚れが付きにくく、水拭きもOK。非常にお手入れがしやすいレザーです。
- 経年変化: 変化はほとんどありません。時間が経っても購入時の鮮やかな色と形をキープします。
- デメリット: 革特有の柔らかさや、吸い付くようなしっとり感はアニリン系に譲ります。少し「カッチリ」した硬めの印象です。
- どんな人向け?: 「汚れるのは嫌、でもビニールではなく本物の革を置きたい」という方。公共施設やオフィスのラウンジ、あるいはダイニングチェアをラフに使いたいファミリーに最適です。
〈カラーバリエーション〉

ブラック / ダークブラウン / ウォルナット / ラーバ / モスグリーン
【Category 4】
■ ヘイズレザー (Haze)

▲PK22(ピーケー22) / ヘイズレザー / ダークブラウン
分類:フルグレイン(極薄研磨) / クロムなめし / アニリン仕上げ
2026年に本格展開が始まった、豊かな触感と味わい深い風合いの最新レザー。
- 特徴と魅力: 2026年の新仕様。フルグレインの表面を極めて薄くバフがけし、軽く起毛させたヌバックタイプのレザーです。見た目はマットでしっとりとしており、触れると細かな毛羽立ちによるなめらかで上質な手触りが特徴です。毛が立っている部分とそうでない部分によって光が当たった時の色合いが異なって見えるので、絶妙な色ムラ感が生まれ、非常に奥行きと味のある表情が魅力です。
- 経年変化: 緩やかに色が深まり、独特のしっとりした艶が出てきます。
- デメリット: 繊細。水シミや油分に注意が必要。
- どんな人向け?: 傷や汚れも含めた経年変化を素材ならではの味として捉えて「育てていく」という感覚を好む人におすすめです(神経質な人には向いていないかもしれません)。また、ヴィンテージ家具との相性も非常によいので、特に濃いめの色合いの木製家具と組み合わせて使用するのもおすすめです。
〈カラーバリエーション〉

アンスラサイト / ダークブラウン / ウォルナット / ベージュ

▲PK22(ピーケー22) / ヘイズレザー / ダークブラウン
■ ソフトレザー (Soft)

▲LILY(リリー) / アームチェア / ソフトレザー / ブラックブラウン
分類:フルグレイン / クロムなめし / セミアニリン仕上げ(染料+非常に薄い顔料)
しっとりやわらか、なめらかな肌触りを追求したレザー。
- 特徴と魅力: 厳選されたフルグレイン(銀面付き)を使い、染料で染めた後に「ごく薄い顔料のベール」を纏わせています。名前の通り、驚くほど柔らかく、座った瞬間に体を優しく包み込んでくれるような安心感があります。
- 経年変化: 緩やかに落ち着いた光沢が出てきますが、劇的な色の変化はないため、インテリアの計画が立てやすいのも魅力。
- デメリット: バランスが良い反面、アニリンほどの「透き通るような奥行き」や、ピグメントほどの「鉄壁の防御力」はありません。
- どんな人向け?: とにかく肌触りの滑らかさを重視したい人におすすめ。わかりやすい高級感や味のある風合いは控えめなバランス型なので、リリーチェアのような造形自体に動きがある小ぶりなチェアやラウンジチェアにおすすめ。
〈カラーバリエーション〉

ブラック / ブラックブラウン / ウォルナット / コニャック
【Category 5】
■ グレースレザー (Grace)

▲EGG(エッグチェア) / ラウンジチェア / グレースレザー / ウォルナット
分類:フルグレイン / コンビなめし(クロム+タンニン) / アニリン仕上げ
素肌のような質感と時を経るほどに艶が増す、最上級のレザー。
- 特徴: フリッツ・ハンセンを代表する最高級レザー。クロムとタンニンのコンビなめしで、革の柔らかさと保護性に加え、素材本来の風合いと経年変化を両立しています。
- 経年変化: 使うほどに艶が増し、圧倒的な気品を纏います。
- 特徴と魅力: 一切の厚化粧をしない「素肌」のようななめらかな質感。そして年月を経て深みと艶が増していく美しい経年変化が魅力です。家具がただの道具ではなく、一緒に暮らしの記憶を重ねて育っていく相棒のような存在になるレザーです。
- デメリット: 非常にデリケート、そして高価。手入れを愉しむ余裕が必要。
- どんな人向け?: 「一生モノ」として椅子を育て上げたい家具の愛好家に一押し。
〈カラーバリエーション〉

ブラック / ダークブラウン / ウォルナット / チェスナット / コンクリート

▲約10年経過したグレースレザー・ウォルナット
※ご使用状況や個体差によって経年変化の進行の仕方は異なります
■ ナチュラルレザー (Natural)

▲AFTER(アフター) / アッシュ(シートクッション:ナチュラルレザー)
分類:フルグレイン / 100%植物タンニンなめし / ピュア・アニリン(染料も使用しない)
革そのものの風合いを最大限に楽しめる、「育てるレザー」の原点。
- ユニークな特徴と魅力: 一切の染色も塗装も行わない、究極の「裸の革」です。最初は明るいピンクベージュのような色をしており、ミモザの樹皮によるなめしの香りが漂います。これ以上ないほど「ピュア」な素材です。
- 経年変化: 全レザーの中で最も劇的です。 光を浴び、人が座ることで、数年後には深い「飴色(アンバー)」へと変貌します。その変化は、持ち主の生活スタイルをそのまま映し出す鏡のようです。
- デメリット: 繊細さも世界一です。水滴一つでシミになり、日光ですぐに焼けます。しかし、そのすべてが「味わい」に変わるのを待つ忍耐が必要です。
- どんな人向け?: 「椅子と一緒に歳を取りたい」と願うロマンチスト。完璧に手入れされた飴色のナチュラルレザーは、もはや家具の枠を超えた「芸術品」です。その覚悟がある方だけが触れられる、至高の領域です。
※ナチュラルレザーは一色(なめした革そのままの色)のみです。
▲数年経過したナチュラルレザー(チャイナチェアのシートクッション)。
※ご使用状況や個体差によって経年変化の進行の仕方は異なります
メンテナンスについて
各レザーのメンテナンスについては、こちらのページをご覧ください。
https://www.fritzhansen.com/ja/sales-support/care-and-maintenance/leather
まとめ – あなたのライフスタイルに最高の「革」を
今回はフリッツ・ハンセンを例にしましたが、「①グレイン、②なめし、③アニリン」という捉え方は、すべての家具ブランドのレザーに共通する物差しです。
名作家具ブランドは、そもそも厳選された上質な原皮しか使いません。
その上で、
家族で囲むダイニングなら、汚れに強いオーラ。
自分だけの書斎で静かに愛でるなら、質感のヘイズやグレース。
といったように、それを使う人や、どんなシーンでどのようにすごしたいか、といった視点から、最適なレザーは何かを吟味していただけると幸いです。
レザーサンプル貸し出し中!
当店ではレザーサンプルの貸出も行っています。ご希望の方は公式LINEにて、お気軽にご連絡ください(ご検討中の商品名とレザーをご記載ください)。
光の当たり方や見る角度、時間帯によって表情を変えるのが本物のレザーの証。ぜひご自宅の照明の下で、その質感と色合いを確かめてみてくださいね。
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この記事を書いた人
CONNECT
こんにちは。ライフスタイルショップ「CONNECT(コネクト)」です。北欧のブランド(ルイスポールセン・フリッツハンセンなど)を中心に照明・家具・ヴィンテージ家具やインテリア雑貨をセレクトし、販売しています。 また、インテリアから考えるお家づくりも手がけています。











