静寂をまとう、光の枝垂れ。PHシリーズ誕生100年、待望の復刻シャンデリア
1933年から1960年代半ばまでルイスポールセンのカタログに掲載された、ポール・ヘニングセン初期の傑作が、100年の時を経て蘇りました。ヴィンテージ市場でも入手困難なモデルの、待望の復刻。
単なる新製品の枠を超え、近代照明の「原点」に触れることができる、一生モノ以上の価値を持つ限定モデルです。
有機的なリズムと「和美」の共鳴。空間を整える静かな灯り
枝垂れ花火のような光の降り注ぎ
豪華さを競う西洋のシャンデリアとは一線を画す、日本の「しだれ柳」や「枝垂桜」を思わせる有機的デザイン。かつて“ボンバードマン・シャンデリア”として知られ、「ボンバード=爆撃・砲撃」を意味するその名から、どこか花火を思わせるイメージを持ちます。
有機的に広がるアームのデザインは、夜空にふわりと消えゆく花火(しだれ柳)のよう。
儚さの中に力強さを宿した光が、空間へと静かに降り注ぎます。
小ぶりなシェードが描く、親密さと象徴性
1つのシェードがわずか16cmという、小ぶりで愛らしい「PH 1/1」。実はこれまで単体での復刻が長く望まれていましたが、シェードが小さいため1灯では十分な明るさが確保できないという理由から実現には至りませんでした。今回、多灯構成のシャンデリアとしてこの課題をクリアし、PHシリーズ100周年の節目に待望の復活を遂げました。
シェードの集合体でありながら、標準的な天井高の空間に吊るしても決して圧迫感を与えません。それでいて、空間のシンボルとしてしっかりと視線を集める絶妙なサイズ設計です。
長い年月を刻んだ風合いを纏う、エイジド・ブラスとダスティー・テラコッタ
4層吹きガラスが生み出す、深みのある温かな光
シェードには、職人の手による4層の吹きガラスを採用。深く落ち着いたダスティー・テラコッタ色が、空間に温もりをもたらします。
対数螺旋のカーブを描くシェードが電球を完全に覆い隠して不快な眩しさを防ぎ、さらにガラス内側に施されたサンドブラスト加工が、その光をふわりと柔らかな拡散光へと変換します。視界に鋭い光が刺さることがなく、点灯時でも部屋の空気がスッと静まるような心地よさを覚えます。
歴史を刻むエイジド・ブラスとシリアルナンバー
金属部には重厚な真鍮を用い、長い年月をかけて深みを増したようなエイジング加工を施したのち、その美しい状態を保つようラッカー仕上げで定着させています。本体に誇らしく刻まれたシリアルナンバーが、歴史的価値を所有する確かな喜びを伝えます。
世界限定生産。選べる3つのバリエーション
エイジド・ブラスとダスティー・テラコッタ色のガラスシェードを採用した本モデルは、空間の広さや用途に合わせて選べる「3本・6本・9本アーム」の3タイプを発表しました。すべてがシリアルナンバー入りの貴重な受注生産モデルとなります。
・PH 1/1 シャンデリア 3灯
世界限定1000台(受注生産)
・PH 1/1 シャンデリア 6灯
世界限定400台(受注生産)
・PH 1/1 シャンデリア 9灯
世界限定200台(受注生産)
富の象徴から個の美学へ。近代照明のひとつの到達点
「見せる」ための装飾から、「楽しむ」ための光へ
中世の重厚な鉄枠と獣脂キャンドルに始まり、17世紀の宮廷を彩ったクリスタルガラスを経て、シャンデリアは長く権力と富の象徴でした。そこには常に、3・6・9灯といった物理的安定と美しさを両立する「3の倍数」の黄金比が存在しました。
しかし1920年代、過剰な装飾に疑問を抱いたポール・ヘニングセンは、科学的な視点で光の質を再構築します。シャンデリアは「見せびらかす道具」から、日々の暮らしの中で質の高い光を楽しむための装置へと進化を遂げたのです。
他のシャンデリアにはない、唯一無二の立ち位置
「シャンデリア」と聞くと、華美な装飾とともに、煌びやかでゴージャスなイメージを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
その起源は14世紀頃。教会の儀式や貴族の宴会場を照らすために生まれました。
当時、キャンドルは非常に高価な贅沢品。それを一度に数多く灯すシャンデリアは、当時からすでに“富の象徴”としての意味を持っていたのです。
そのどちらとも異なり、PH 1/1は眩しくない光を徹底して追求しながら、静寂と有機的な温かみを両立させています。他のシャンデリアが空間を飾るための宝石だとしたら、これは「空間の質を整えるための、静かなる灯火」です。
暮らしの各シーンに寄り添う、光のシンボル
ダイニング照明としての深い調和
オーク材のテーブルや、経年変化を帯びたヴィンテージ家具の木肌に、ダスティー・テラコッタの光がしっくりと馴染みます。
一方で、ホワイト系のテーブルやリネンのクロスと合わせれば、エイジング加工を施した真鍮のアームが美しいコントラストを描き、現代的な空間をシャープに引き締めます。
リビングシャンデリアとして響き合うステータス
大理石の重厚なセンターテーブルや、温かみのあるふっくらとしたファブリックソファ。こうした異なる素材が交差する空間にも、PH 1/1 シャンデリアの落ち着いた色合いが深く響き合います。
少し高めに吊るして部屋全体の重心を上げるか、低めに吊るしてパーソナルな親密さを生み出すか。吊るす高さ一つで、空間の表情を自在にコントロールできます。
寝室を優しく包む安らぎ
一日の終わり、重たい衣服を脱ぎ捨ててベッドに入る前のひととき。天井からふわりと降り注ぐ静かな灯りが、寝室を非日常の安らぎで満たします。
玄関照明としての品格
家の顔であるエントランス。扉を開けた瞬間、象徴的な光の枝垂れがゲストを迎え入れ、住まい全体が持つ奥ゆかしい品格を真っ直ぐに伝えます。
メンテナンス方法
定期的に(6か月程度)、部品にゆるみがないか点検していただくことをおすすめしております。日頃のお手入れは、乾いた布でやさしくほこりを拭き取ってください。
汚れが気になる場合は、柔らかい布に中性洗剤を含ませてよく絞り、拭き取った後に乾拭きをお願いいたします。
また、ガラスシェードに汚れがある場合は、1枚ずつ取り外し、食器用の中性洗剤と柔らかいスポンジでやさしく洗っていただいた後、乾いた布で水分を拭き取ってください。
万が一ガラスシェードが破損した場合は、お気軽にお問い合わせください。
取付方法
すべてのバリエーションにおいて、視覚的なノイズとならない黒色ステンレスワイヤーと、天井の接続部をすっきりと覆い隠す特別仕様のフランジが付属しています。重厚な真鍮とガラスの集合体を、安全にかつ空間に浮かび上がるような美しさで天井から吊り下げます。
本モデルは、灯数ごとの重量に合わせて最適な取付方法を採用しています。ご購入前に、設置予定の環境を必ずご確認ください。
・3灯タイプ(重量:3.8kg) / 引掛シーリング取付型
・6灯タイプ(重量:6.1kg) / ネジ取付型
・9灯タイプ(重量:9.2kg) / ボルト取付型
※6灯および9灯タイプは電気工事を伴うため、必ずお近くの施工業者や電気工事店への取り付け依頼をお願いいたします。
近代照明の父、ポール・ヘニングセン
光を科学し、人々の対話を促す「人道主義」
彼が「近代照明の父」と呼ばれるのは、単なるランプの形を作ったからではありません。それまでただの「明るくする道具」だった電灯を、「人々の暮らしを健やかにし、お互いの顔を美しく照らして対話を促す装置」へと変えたからです。
1920年代、普及し始めたばかりの裸電球の刺すような光は、人々の瞳孔を無理に収縮させ、表情を強張らせていました。ヘニングセンはこの「不快な眩しさ(グレア)」を近代社会の欠陥と捉え、生涯をかけて戦いを挑みました。
▲1927年当時の写真
参照:LIGHT YEARS AHEAD THE STORY OF THE PH LAMP(2000).Louis Poulsen
彼が目指したのは、光が強すぎず弱すぎもしない、瞳孔がふっと緩んで心から安らげる空間。優れた建築家であり、鋭い社会批評家でもあった彼の「質の高い光は人々の生活を救う」という徹底した人道主義が、現代の北欧デザインの根底に流れています。
誕生から100年。世界中で愛され続ける「PHシリーズ」
対数螺旋が導き出した、完璧な光のコントロール
参照:LIGHT YEARS AHEAD THE STORY OF THE PH LAMP(2000).Louis Poulsen
PHシリーズ100周年の節目。そのすべての原点となるのが、1920年代にヘニングセンが完成させた「複数シェードシステム」です。自然界のオウムガイの殻などに見られる「対数螺旋」という数学的カーブをシェードに応用することで、電球から放たれる光の反射角をどこでも一定に保つことに成功しました。
情報の光から、感受の海へ
この緻密な計算により、どの角度から見ても電球の光源が直接目に入らないグレアフリーの仕組みが誕生しました。光はシェードの内側で複雑に反射を繰り返し、下に向かう直接光と、周囲を照らす柔らかな間接光へと分離されます。ただ空間を照らす「情報の光」ではなく、部屋の中に幾重もの影のグラデーションを作り出し、人の心を深く鎮める「感受の海」を生み出します。今回復刻されたPH 1/1は、この偉大な発明の初期衝動に触れることができる、極めて純度の高いモデルです。
光をかたちづくる。デンマークの老舗「Louis Poulsen」
職人の呼吸が宿るクラフトマンシップ
1874年に創業したLouis Poulsen(ルイスポールセン)。彼らのものづくりは、現代の効率的な大量生産とは対極にあります。シェードに使われる吹きガラスは、現在もイタリアの熟練職人が1400度の炉と向き合い、一本の竿から息を吹き込んで成形しています。手作業ゆえに生じるコンマ数ミリの厚みの違いが、工業製品にはない温もりを与えます。
世代を超えて受け継がれる「一生モノ」の約束
「形態は機能に従う」。彼らは単に美しいランプを作っているのではなく、インテリアファンや本物志向の人々が、長い年月を共にするための照明器具を真摯に作り続けています。ガラスが割れてしまった場合のスペアパーツの供給はもちろん、ソケットの位置を調整できる機構によって、時代ごとの電球の変化にも対応し、計算された完璧な配光を再現し続けることができます。 古びて捨てるのではなく、経年変化する真鍮の輝きとともに、親から子へ、そして次の世代へと受け継いでいく。ヴィンテージ照明として長く愛される、真の一生モノの価値がここにあります。