昼は景色を透かし、夜は光の柱になる。
気配を消して佇む、ガラスのフロアランプ。
明るい日差しの中では、透明なガラスの筒として背景の壁や窓の景色に溶け込む。
そして周囲が暗くなると、リング状の光が重なり合うひとつの柱が、静かに空間へ浮かび上がる。
それが、FLOSの「NOCTAMBULE(ノクタンブル)」です。
「リビングに大型のフロアランプを置きたい」
「空間のアクセントになる、印象的な照明がほしい」
そう思いながらも、
「背の高い照明を置くと圧迫感が出るのでは」
「部屋が狭く見えてしまわないだろうか」
そんな気持ちから、一歩踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。
ノクタンブルは、そんな悩みに“抜け感”という発想で応えます。
名作「MAYDAY」のデザイナーが仕掛けた、心地よい裏切り
デザインを手がけたのは、名作「MAYDAY(メイデイ)」などで知られるコンスタンティン・グルチッチ。照明をはじめとする数々の実用的な道具を生み出してきた彼が、2020年に発表したプロダクトです。
商品名の「Noctambule(ノクタンブル)」は、フランス語で“夜行性”や“夜の遊び人”を意味します。その名の通り、昼と夜でまったく異なる表情を見せる照明です。
一見すると極めてシンプルなガラスの道具ですが、環境に合わせて高さを変えられる合理的なモジュール構造を採用。
静かに佇みながら、夜になると空間の印象を一変させる。
そんな“良い意味での裏切り”が込められた、グルチッチらしいデザインです。
無色透明なガラスに秘められた、3つの魅力
昼は気配を消し、夜に姿を現す。相反する二つの表情
昼間は透明なガラスが背景を透かし、どれだけ背の高いモデルを置いても部屋を分断しません。フロアランプ特有の圧迫感がなく、限られたスペースの広がりをそのまま保つ「抜け感」。大型でありながら、そこに“あること”を感じさせない軽やかさがあります。
しかし夜、スイッチを入れた瞬間――
リング状の光が重なり合い、一本の美しい光の柱が立ち上がる。
柔らかな間接光が空間に奥行きと立体感を生み出し、リビングを上質な雰囲気へと引き上げます。
空間に溶け込む静けさと、夜の確かな存在感。この全く異なる二つの表情を楽しめるのが最大の魅力です。
正面から見たときの造形美と、吹きガラスの温もり
点灯したノクタンブルを、ぜひ真正面から見つめてみてください。ガラス同士の接合部に組み込まれたLEDの光がエッジに反射し、幾重にも重なる光のリングが水平に浮かび上がります。
一見すると無機質でモダンなデザインですが、筒の部分はイタリアの熟練職人による「吹きガラス」で作られています。LEDの均一な光がガラスの屈折と反射を通して柔らかく広がり、人間らしい温かみがしっかりと宿っています。
空間の余白に合わせて選べる、光の高さとシルエット
特筆すべきは、その合理的なモジュール構造です。パーツを組み合わせることで高さを調整でき、空間や用途に合わせて最適なバランスをつくることが可能です。
ご自宅の天井高や家具のレイアウトに合わせて、ガラスの筒を1段から4段まで選択できるのは、照明では非常に珍しい仕組みです。段数を重ねるほど、光の柱はよりダイナミックな美しさを見せます。
さらに、トップにボウル形(BOWL)やコーン形(CONE)のガラスシェードを追加したバリエーションも展開。
ご自宅のプロポーションに最も美しく収まる、ひとつの形を見つけてください。
名作家具と調和し、夜の時間を豊かにするコーディネート
静寂な世界観に寄り添う、稀有な存在感
CONNECT代表・高木も、自宅に取り入れたいと考えているほど惚れ込んでいるフロアランプです。その理由は、「コーディネートにおける圧倒的な調和力」にあります。
空間づくりにおいて本当に難しいのは、“最後の一手”。
名作家具で整えた完成度の高い空間ほど、後から加える照明ひとつで、その質は大きく左右されます。
たとえば、ポール・ケアホルムの「PKシリーズ」との組み合わせ。
PKシリーズの無駄を削ぎ落とした静謐な佇まい。その世界観を壊さず、さらに引き立てることができる照明は、決して多くありません。
ノクタンブルは、主張しすぎない。それでいて、空間の格を引き上げてくれます。
「置いてよかった」と感じさせるのは、単に美しいからではありません。
どんな完成度の高いインテリアにも自然と溶け込みながら、空間全体をワンランク上へ導く力があるからです。
名作家具と並んでも引けを取らない。それでいて、決して出しゃばらない。
この“緊張感と調和のバランス”こそ、ノクタンブルを推したい理由です。
1日の終わりを告げる、光のスイッチ
夕暮れ時、部屋が薄暗くなってきたタイミングで点灯してみてください。
透明だったガラスの輪郭に光が走り、徐々に光の柱が立ち上がっていく視覚的な変化は、夜の訪れを知らせる静かなスイッチになります。
お気に入りのチェアの横で実用的な読書灯として。あるいは部屋の隅に置き、空間全体にムードを作る間接照明として。
トップにコーン形(CONE)のシェードを合わせれば、光が上部へと抜け、天井に美しい光の円を描き出します。
夜行性の名を持つこのランプが、上質なコーディネートとともに夜の時間をより豊かにしてくれます。
私たちが実際に触れて感じた、二つの驚き
「想像を裏切る、どっしりとした安心感」
「ガラスを重ねた背の高いタワー」と聞くと、少し触れただけで倒れてしまうのではと不安になるかもしれません。しかし実際に触れてみると、最小サイズでも総重量10kg、最大モデルでは29kgと、確かな重みがあります。重量のある金属ベースがしっかりと重心を支えているため、手で軽く押した程度ではビクともしない安定感に驚かされます。
「無機質ではない、光の柔らかさと心地よさ」
写真ではクールな工業製品に見えますが、実物を点灯した瞬間に「あ、温かい」と印象が変わります。自然な温かみのある電球色(2700K)の光が目に優しく、読書などで手元の文字を追うのにも心地よい明るさです。ただ冷たくそびえ立つタワーではなく、暮らしに寄り添う実用的な照明なのだというギャップに惹きつけられました。
自在に構築するモジュラー照明。システムとサイズの目安
ノクタンブルは、円筒形のガラスモジュールを積み重ねて構築するモジュラー照明です。
素材には、イタリアの熟練職人による透明な吹きガラスと、LEDユニットが組み込まれた接合パーツが使用されています。
写真では軽やかに見えますが、実物は非常にスケールの大きな照明です。
一番コンパクトな1段のモデル(F1 LOW)で、高さ500mm・重量10kg。一番背の高い4段モデル(F4 HIGH ビッグベースなど)になると、高さ2170mm・重量29kgに達します。
これだけ種類があると迷われるかもしれませんが、まずは「置きたい場所の天井高や、横に並べる家具とのバランス」を基準に、1段から4段までのベースとなる高さを決めるのがおすすめです。
その上で、トップのシルエットをお選びください。丸みを帯びた柔らかな印象の「BOWL(ボウル形)」か、直線的でシャープな広がりを持つ「CONE(コーン形)」。どちらのシェードも、光を天井へ届けることで空間をより広く感じさせてくれます。
メンテナンス方法
熟練の職人が息を吹き込んだ吹きガラスの透明感を維持するために、日々の扱いには少しだけコツが必要です。
・お手入れの前には、必ず電源を切ってください。点灯中や消灯直後は光源の近くが非常に熱くなっていますので、火傷を防ぐため、器具が十分に冷めてから作業を始めてください。
・移動させる際は、必ず一番下の「ベース部分」を持って動かしてください。ガラスの接合部に無理な負荷がかかると、セードやシリンダーが破損する原因となります。
・日常のホコリは、乾いた柔らかい布で優しく拭き取ってください。汚れが目立つ場合は、水で濡らして固く絞った布で軽く拭き取り、水気が残らないように仕上げてください。
・シンナー、金属ミガキ、サンドペーパーなどの使用は避けてください。表面の変色やサビ、傷の原因となります。
・器具に布や紙をかぶせないでください。
・6か月に1回を目安に、定期的な清掃と点検を行ってください。ネジや部品のゆるみがないか、コードに劣化がないかを確認することで、長く安全にお使いいただけます。
ご購入前に確認しておきたいQ&A
Q. 組み立ては必要ですか?
A. はい、お客様ご自身での組み立てが必要です。パーツにはずっしりとした重みがあり、さらに非常に繊細な吹きガラスを使用しています。安全のため、必ず大人2人以上で作業を行ってください。
【組み立て時のコツ】
ガラスパーツを傷つけず、安全にネジ留めを行うために、お届け時のダンボールを作業台として活用してください 。パーツを寝かせて安定させた状態で作業ができるため、ネジの紛失を防ぎ、スムーズに組み立てを完了させることができます。
Q. LEDの交換は自分でできますか?
A. 本製品はLEDユニットが器具と一体化しているため、LEDユニットのみの交換や、お客様ご自身での電球交換はできません。照明器具の寿命はおよそ8〜10年(1日10時間点灯の場合)が目安とされています 。万が一、不点灯などの不具合が生じた場合は、モジュール(シリンダー)単位での買い替えによる対応も可能です。まずは一度、当店までご相談ください。
Q. 明るさの調節(調光)はできますか?
A. はい、足元のフットスイッチ(調光スイッチ)で直感的に操作いただけます。スイッチを短く押すごとに「100%点灯 → 50%点灯 → 消灯」の順で切り替わります。また、スイッチを長く押し続けることで、100%から10%の間で無段階の明るさ調節が可能です。
昼と夜、二つの顔を持つ一生ものの道具として
昼間は空間の広がりを保ち、夜は温かな光の柱となって部屋を包み込む。ノクタンブルは、他の照明にはない圧倒的な実用性と造形美を兼ね備えた、一生ものの道具です。
職人が息を吹き込んだ吹きガラスの温もりと、最先端のLED技術。長く付き合える夜のパートナーとして、ぜひご自宅の風景に加えてみませんか。サイズ選びや設置に関するご不安は、いつでもご相談ください。
デザイナー / Konstantin Grcic(コンスタンチン・グルチッチ)
1965年、ドイツのミュンヘン生まれ。イギリスのThe John Makepeace Schoolに家具職人として修業をした後に、ロンドンのthe Royal College of Artにてデザインを学ぶ。1991年、ミュンヘンで自身のKonstantin Grcic Industrial Designを設立して以来、Authentics,BD Ediciones,ClassiCon, Flos,Magis,Muji,Nespresso,Vitraなど、世界をリードするデザインカンパニーのために家具・プロダクト・照明を開発。彼の作品の多くは世界の主要なデザインアワードを受賞し、今回取り上げたFLOSより発表したMAYDAYランプは、2001年にコンパッソ・ドーロ賞を受賞。ニューヨーク近代美術館のパーマネントコレクションに選定されている。
Konstantin Grcic Industrial Designは現在FLOSのテクニカル照明システムやWhirlpoolのマイクロウェーブオーブンなど数々の新しいプロジェクトに携わっている。
イタリアを代表する照明ブランド、FLOS(フロス)とは?
1962年、イタリア メラノで設立された住宅照明および建築照明の製品やシステムを提供する国際企業。新しい創造的な才能を見いだすと共に、技術的研究や革新的な取り組みを継続的に行い、60年以上にわたり成長を遂げている。世界80ヵ国以上に輸出し、ローマ・ミラノ・パリ・リヨン・ニューヨーク・ストックホルムに直営店を展開している。フロスの作品は数々の国際的な賞を受賞しており、その多くが世界の主要な美術館やデザイン博物館のパーマネントコレクションに収蔵されている。日本フロスは1981年に設立された。