和と北欧の交差点。現代の空間に馴染む静かな佇まい
デンマークのデザインスタジオ、ノーム・アーキテクツが、石巻工房のために手がけた「105°ラウンジチェア」。その名が示す「105°」とは、身体の力がすっと抜け、自然とくつろぎへ導かれる背もたれの角度に由来しています。
日本の「床に近い暮らし」が持つ安心感と、北欧のミニマルな美意識。
そのふたつが交差することで生まれたのは、主張しすぎず、それでいて確かな存在感を持つ一脚です。
コンパクトで無駄のない構造と、しっかりと身体を支える座り心地。
重心を低く設計することで、見慣れた空間に静かな余白が生まれます。
和室の畳の上でも、モダンな洋室でも。置く場所を選ばず、空間に穏やかな調和をもたらしながら、日常の中に「小さな居場所」をつくり出す椅子です。
美しい佇まいと心地よさを紐解く、3つの視点
空間に抜け感を作る、ミニマルな「直線」
国産広葉樹を用いたフレームは、木の無骨な力強さを残しつつも端正でモダンなデザインに仕上がっています。特徴的な背もたれのデザインには、ノーム・アーキテクツが考える「シンプルさ」が体現されています。
複雑な装飾を省き、木をどう組んでいるかがひと目でわかるような、ごまかしのない明快な造形。
個性を持ちながらも、置かれる空間の空気を邪魔せず、溶け込むように計算されています。
ミニマルでありながら緻密に組み上げられたその構造は、ポール・ケアホルムなど北欧の名作家具にも通ずる、静かな美しさを宿しています。
縁側のように自然とくつろげる「105°」
直線的なフォルムからは想像できない、体を預けた瞬間の安心感。背もたれの「105°」は、自然と体の力が抜ける絶妙な傾斜です。
適度な硬さのクッションが背中をしっかりと支えるため、長時間座って本を読んだり映画を見たりしても疲れにくく、まるで縁側でくつろぐような心地よさが続きます。
現代の座椅子のようにくつろぐ、重心の「低さ」とゆとり
大きなソファのように空間を占有せず、視界を遮らないアームレスデザイン。
座面高を抑えたロータイプの構造は、スッと心が落ち着く居場所を生み出します。
座面幅は65cmと広く、畳の上のようにあぐらをかいて座れる自由度を備えています。
床座りよりも立ち座りがスムーズで、立ち上がる際も両手をしっかりと座面につけることができ、安定感は抜群です。
内部にはカリモク家具製のウレタン芯材を採用し、底付き感のない確かな座り心地を実現しました。現代の限られた住環境に寄り添う、実用性に優れた構造です。
窓辺や畳の上に、自分だけの定位置を作る
コンパクトで持ち運びしやすい設計は、日々のライフスタイルの変化に柔軟に寄り添います。
リビングの片隅や、日当たりの良い窓辺、和室の畳の上。家の中のわずかなスペースが、思索や読書のための静かな特等席へと変わります。
スタッフの声
「実際に和テイストの部屋に置くと視線が下がり、空間全体が広く感じられます。直線的な背面のラインが美しく、間仕切りのように配置するのもおすすめ。」
「Kvadrat生地の上質な手触りと、長時間座っても沈み込みすぎない座り心地は、毎日のリラックスタイムに欠かせません。」
メンテナンスについて
木部フレームは柔らかな布で乾拭きしてください。ファブリック部分のホコリは軽く払い、汚れがついた際は固く絞った布で叩くように拭き取ってください。
いつもの部屋に、直線の余白と小さな縁側を
忙しい毎日のなかで、ふと重心を下げることで得られる深い安心感。タフで美しい直線が空間を整えながらも、体全体を優しく受け止めてくれます。気取らないデザインと確かな品質が、これからの暮らしに静かな時間を作ってくれる一脚です。
石巻工房とは|震災から生まれ、世界に愛される家具へ
ただ座るためだけの道具ではなく、空間に静かな対話を生み出す家具。2011年の震災復興をきっかけに宮城県石巻市で生まれた石巻工房は、「自分たちの手で暮らしをつくる」というごく素朴で力強い思想から始まりました。そんなDIYの精神と、人々の繋がりを育むコミュニティの物語が、一つひとつのプロダクトに刻まれています。
始まりは、復興のための「公共工房」
建築家の芦沢啓治氏らによって設立された石巻工房は、当初は家具ブランドではなく、被災した人々が自らの手で暮らしを修繕するためのDIYスペースでした。野外映画館のために作られたシンプルなベンチをきっかけに、人々が自然と集い、語り合うコミュニティが生まれ、現在のブランドへと発展しました。
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DIYの常識を変えるデザイン。誰もが家具と暮らしの作り手【石巻工房特別インタビュー】
制約から生まれる、モダンで頑丈な「用の美」
特徴は、どこにでもある規格材とビスのみで作れるシンプルな構造です。工房長の千葉隆博氏ら職人の手と、デザイナーの知見が掛け合わされることで、無骨な木材が洗練された頑丈な家具へと昇華されます。極限まで無駄を削ぎ落としたその姿は、現代における新しい民藝とも言えるのではないでしょうか。
海を越え、コミュニティを育む「Made in Local」

▲各国オリジナル仕様の「AA STOOL」
「素晴らしいコミュニティを作ることは、素晴らしい家具を作ることと同じくらい重要」。
その理念のもと、家具の図面を世界で共有し、現地の木材と作り手で生産する「Made in Local」の取り組みが広がっています。
海外の地域支援も担うこの活動は、家具作りを通じた人々の回復力(レジリエンス)を生み出しています。
暮らしに寄り添い、対話を生み出す存在として

▲3月に行われた石巻工房15周年の展示の様子
大量生産ではなく、人の手で作る価値を伝える石巻工房。
「日本人の家に行ったら、大体1つは石巻工房の家具があるよね」と言われるような、みんなに愛される存在を目指しています。
部屋にあるだけで、ふと自分でも何かを作りたくなるような、温かなインスピレーションを与えてくれるブランドです。