チェスカチェアを買う前に読んでほしい。名作の魅力から10年後のメンテナンスまで

チェスカチェア、格好いいですよね。 細いスチールパイプに、木と籐。 後ろ脚のない軽やかな姿。
一脚置くだけで、いつもの部屋がちょっと格好よく見える。 何度見ても「やっぱりいい椅子だな」と思います。
でも、いざ購入しようと思うと、気になることもたくさん出てきます。
座り心地って実際どう?
籐の座面って、どれくらい使える?
破れたらどうする?自分で交換できるの?
普段のお手入れは?
木のテーブルにも合う? Yチェアと一緒に置いても変じゃない?
そして、そもそも。 なぜ100年近く前に生まれた椅子が、今もこんなに格好いいのか。
決して安い椅子ではありません。 だからこそ、ちゃんと知って、納得して選んでほしい。
今回はチェスカチェアの歴史やデザインだけではなく、実際に家に置いたときのスタイリング、毎日使う上で知っておきたいこと、そして10年、20年と付き合っていくためのメンテナンスまで。
「チェスカチェアを買う前に知りたいこと」を、この記事一本にまとめています。
01|まず、チェスカチェアってどんな椅子?

チェスカチェアをデザインしたのは、ハンガリー出身の建築家・デザイナー、マルセル・ブロイヤー。チェスカチェアが誕生したのは1928年です。
1928年。日本でいうと、昭和3年。 そう聞いてから、もう一度チェスカチェアを見てみてください。 これが約100年前の椅子だと思うと、すごくないですか。
今のダイニングに置いてもまったく古く見えない。むしろ、今のインテリアだからこそ置きたくなるような格好よさがあります。
チェスカチェアの大きな特徴は、なんといっても「後ろ脚がない」こと。 一本のスチールパイプが床を通り、そのまま座面を支える「カンチレバー構造」が採用されています。
そして、もうひとつ。スチールだけでつくられていないこと。 スチール、木、籐。 この3つの素材が、ひとつの椅子の中に入っています。これが、チェスカチェアの絶妙なところです。
02|スチール × 木 × 籐。この組み合わせがたまらない。

ピカッと光るスチールパイプ。 温かみのある木。 そして、自然素材の籐。
冷たいものと、温かいもの。 工業的なものと、自然のもの。
まったく性格の違う素材が、一脚の中に一緒に存在しています。 なのに、ちゃんとまとまっている。むしろ、この異素材の組み合わせこそがチェスカチェアらしさだと思います。
モダンだけど、冷たすぎない。 ナチュラルだけど、素朴すぎない。 だから、置ける空間の幅がとても広いんです。
モダンな部屋にも置ける。 北欧家具のある部屋にも置ける。 ヴィンテージ家具の中に入れても格好いい。 無垢材のテーブルにも合わせられる。
約100年前の椅子なのに、今のインテリアにすっと入ってくる。その理由のひとつが、この素材のバランスにあると思います。
03|「後ろ脚がない」って、やっぱりすごい。

チェスカチェアは、ぜひ横から見てほしい椅子です。 前脚から床へ。そのまま後ろへ伸びて、ぐるっと曲がり、座面を支える。
後ろ脚がありません。座面が宙に浮いているように見えます。 この構造を「カンチレバー」と呼びます。
今でこそカンチレバーの椅子は珍しくありませんが、チェスカチェアがデザインされた1928年当時としては、とても革新的な構造でした。
そしておもしろいのが、この構造が見た目だけのものではないこと。 実際に座ると、スチールパイプが身体の動きに合わせてわずかにしなります。
木製椅子のようなカチッとした座り心地とは、ちょっと違う。 身体を預けると、椅子もほんの少しついてきてくれるような感覚があります。
構造が美しくて、その構造自体が座り心地にもつながっている。ここが、チェスカチェアのおもしろさです。
04|そして、この籐がいい。

チェスカチェアをチェスカらしく見せているもの。やっぱり、籐です。
スチールだけだったら、もっと無機質な椅子になっていたと思います。そこに籐が入る。それだけで、一気に温かくなる。
しかも籐は、光が抜けます。 背面の向こう側が見える。座面からも光が抜ける。 だから4脚並べても、空間が重たくなりにくいんです。
個人的に好きなのが、自然光が入る場所に置いたチェスカ。 籐の編み目から光が抜けて、床に影が落ちる。 こういう瞬間って、写真ではもちろんきれいなんですが、実際に暮らしているともっといい。
家具を選ぶときって、サイズや座り心地ももちろん大切です。 でも、朝の光の中でどう見えるか。そんなところまで好きになれる家具って、なかなかありません。
05|実際、座り心地はどう?

ここは購入前に気になるところですよね。 チェスカチェアは、ふかふかの椅子ではありません。身体を包み込むようなラウンジチェアでもない。
でも、ダイニングチェアとして座ると、この構造がよくできていることが分かります。 まず、カンチレバー構造による適度なしなり。 そして、籐の座面。籐もガチガチに硬い素材ではなく、身体を受け止めながらわずかに馴染みます。
この、スチールのしなり + 籐のしなやかさ。 これがチェスカ独特の座り心地をつくっています。
ただし、椅子の座り心地は体格や好みによってかなり変わります。 特に毎日ダイニングで使う予定なら、できれば一度実際に座ってみてほしい。 写真で見る格好よさと、毎日身体に触れる道具としての心地よさ。どちらも納得したうえで選ぶのが、一番です。
06|北欧家具の中にチェスカ。これが格好いい。
CONNECTとして、ぜひおすすめしたいスタイリングがあります。 それは「北欧家具 × チェスカチェア」。
たとえば、 オークの無垢材テーブル。 Yチェア。 J39。 そこに、チェスカを一脚。
これ、かなり格好いいです。 チェスカチェアはバウハウスにつながる家具。YチェアやJ39はデンマーク家具。 生まれた場所も、デザインされた背景も違います。でも並べてみると、不思議なくらい馴染む。
なぜか。共通点がちゃんとあるからです。 まず、線が細い。そして自然素材が使われている。さらに、それぞれの素材を隠していません。
Yチェアなら、木とペーパーコード。 J39も、木とペーパーコード。 チェスカなら、スチールと木と籐。
素材そのものを見せて、家具として成立させている。 だからデザインは違っても、一緒に置いたときにちゃんと会話してくれます。
07|4脚全部、同じじゃなくていい。

これは以前、YouTubeでもお話しした内容ですが、ダイニングチェアって全部同じじゃなくてもいいんです。
4脚揃える。もちろん、きれいです。 でも家具が好きなら、一脚ずつ好きな椅子を集めていく。そんな楽しみ方もあります。
Yチェアがあって。 チェスカがあって。 J39があって。 そこにヴィンテージの椅子が一脚混ざっている。
僕は、そんなダイニングもすごく好きです。
ただし、何でも入れればいいわけではありません。 木の色、座面の素材、線の細さ、椅子の高さ。どこかに共通点をつくってあげる。すると、違う椅子でもひとつの空間としてまとまってきます。
そしてチェスカチェアは、この「椅子をミックスするスタイリング」がかなり得意です。 スチールがある。木がある。籐もある。ひとつの椅子の中にいろいろな素材が入っているからこそ、他の家具との接点を見つけやすいんです。
08|木のテーブルに合わせてほしい。

チェスカチェアといえば、ガラスや大理石、スチールなど、少しモダンなテーブルとの組み合わせをイメージされる方も多いと思います。もちろん格好いいです。
でもCONNECTとしては、ぜひ無垢材のテーブルにも合わせてみてほしい。特にオーク。
木の大きな天板に対して、チェスカの細いクロームのライン。この対比がすごくきれいです。 木製の椅子だけでまとめたダイニングは、当然統一感があります。そこにチェスカを一脚入れる。
すると少しだけ緊張感が出る。空間が締まる。ちょっとモダンになる。 でもチェスカ自身にも木と籐が使われているから、浮きすぎない。
馴染んでいるのに、ちゃんと違う。このくらいが、インテリアとしておもしろいんです。
09|購入前に知ってほしい。籐はいつか傷みます。

ここからは、かなり大切なお話です。 チェスカチェアを購入するなら、ぜひ知っておいてほしい。
籐は消耗する素材です。 天然素材なので、永久に新品の状態が続くわけではありません。
毎日座っていると、少しずつ伸びる。擦れる。色も変わる。 長く使えば、籐が切れることもあります。
では、何年くらい使えるのか。 これは使う頻度や体格、湿度、日当たりなどによって大きく変わるので、一概には言えません。
毎日使うダイニングチェアなら、10年前後をひとつの目安として、一度しっかり座面や背面の状態を確認してあげる。そのくらいの感覚で考えていただくといいと思います。
10年で必ず交換するわけではありません。もっと長く使える場合もあります。 大切なのは、「籐はいつか傷む」ということを知ったうえで購入することです。
10|でも、破れたら終わりじゃない。

ここ、チェスカチェアのすごく好きなところです。 籐が破れたら、椅子を捨てる。……ではありません。
座面や背面を交換して、また使えます。
座面が傷んだら、座面を。 背面が傷んだら、背面を。 椅子そのものは、そのまま使い続ける。 交換部材が用意されているからこそできることです。
そしてチェスカチェアは、構造自体も比較的シンプル。 適合する部材と必要な工具を用意して、正しい手順で作業すれば、座面や背面をご自身で交換することもできます。
これ、家具好きにはちょっと嬉しくないですか。
10年使う。籐が傷んでくる。「そろそろ交換しようか。」 座面を外す。新しいものに替える。そして、また使う。
新品に買い替えるのではなく、自分で手を入れながら使っていける。こういう家具との付き合い方ができるのも、チェスカチェアの魅力だと思います。
11|チェスカチェアのお手入れ。普段はこれでOK。
では、実際にどうやってメンテナンスすればいいのか。
まず籐。日常のお手入れは、難しくありません。 基本的には柔らかいブラシや乾いた柔らかい布などで、編み目に溜まったホコリを優しく取り除いてあげます。汚れが付いた場合も、いきなり強い洗剤などを使うのではなく、素材を傷めない方法で優しく落とします。
そして、一番気をつけてほしいのが、座面の上に立たないこと。
普通に腰掛ける場合は、お尻全体で体重を受け止めます。 ところが、足や膝を乗せると、その一点に荷重が集中します。籐にとってはかなりの負担です。椅子を踏み台代わりにするのは避けてください。
また天然素材なので、強い直射日光が長時間当たり続ける場所や、極端に乾燥・湿気の強い環境にも注意。
とはいえ、神経質になりすぎる必要はありません。 普通に使って、たまに掃除して、ときどき状態を見てあげる。それくらいで大丈夫です。
12|スチールフレームはどうする?
チェスカらしさをつくっているクロームのスチールパイプ。 こちらも普段は柔らかい乾いた布で拭く程度で十分です。手で触れた跡や汚れが気になる場合は、表面を傷つけないよう優しく拭き取ります。
長く使っている場合は、座面や背面を固定している部分に緩みがないかも、ときどき確認してあげてください。
僕は、家具のメンテナンスって「新品みたいに戻すこと」だけではないと思っています。 椅子をひっくり返して、 「あ、ここで固定されているんだ。」 「このパイプ一本で身体を支えているんだ。」 そんなふうに構造を見る。それだけでも、その家具への愛着ってちょっと増えるんですよね。
13|新品のときが、一番格好いいとは限らない。
チェスカチェアは、新品ももちろんきれいです。 明るい籐。きれいな木部。ピカッと光るクローム。
でも個人的には、少し使い込んだチェスカもかなり好きです。
籐の色が少し落ち着いて。木にも小さな傷がついて。 毎日座った時間が、少しずつ家具に残っていく。
そして10年後。必要なら座面を交換する。また使う。 20年後。また手を入れる。
そうやって使われてきたチェスカチェアって、新品とはまた違う格好よさがあると思います。
14|「名作だから買う」じゃなくていい。

チェスカチェアは、家具史に残る名作です。 マルセル・ブロイヤー。バウハウス。カンチレバー。約100年という歴史。 知れば知るほど、おもしろい背景があります。
でも。家に置く理由は、もっと単純でもいいと思うんです。
「この椅子、格好いいな。」 それでいい。
朝、ダイニングを見たときにちょっと嬉しい。 テーブルの横を通ったとき、横から見たチェスカが格好いい。 Yチェアの隣に置いたら、思っていた以上によかった。 夕方、籐に光が当たっているのがきれいだった。
そんな小さな「いいな」が毎日の中にある。家具って、そういうものでいいと思います。
15|約100年前の椅子を、これから10年、20年使う。

1928年に生まれたチェスカチェア。もうすぐ100年です。 その間、暮らし方も住宅も大きく変わりました。 それでも、この椅子は今もつくられ、選ばれています。
軽い。美しい。圧迫感が少ない。いろいろな家具と合わせられる。 そして、傷んだところには手を入れて、また使える。
名作家具というと、少し特別なものに聞こえるかもしれません。 でも本当は、毎日使えるからこそ、名作として残ってきた。 僕はそう思います。
チェスカチェアが気になっているなら、ぜひ一度座って、いろいろな角度から眺めてみてください。 正面だけじゃなく、横からも。少し離れたところからも。
そして、自分の家のダイニングに置いたところを想像してみてください。 今使っているテーブルの横に。お気に入りの照明の下に。Yチェアや、これまで集めてきた家具の隣に。
約100年前に生まれた椅子が、これから自分たちの10年、20年を一緒に過ごす家具になる。 そしていつか籐が傷んだら、また手を入れて使う。
そうやって家具と長く付き合っていけること。 それが、僕たちがチェスカチェアをおすすめしたい一番の理由なのかもしれません。
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この記事を書いた人
CONNECT
こんにちは。ライフスタイルショップ「CONNECT(コネクト)」です。北欧のブランド(ルイスポールセン・フリッツハンセンなど)を中心に照明・家具・ヴィンテージ家具やインテリア雑貨をセレクトし、販売しています。 また、インテリアから考えるお家づくりも手がけています。










